※ ジャンプ6・7号ネタバレ注意

ワールドカップ第二会場、ニュー・メドーランドスタジアム。
トーナメント一回戦・アメリカVSニュージーランドのキックオフわずか数秒で、パンサーのタッチダウン。

「ニュージーランドか、もう力は分かった。十分だ」
「Mr.ドン…」

“全てを統べる者”のこの一言で、早くも試合は終焉に向けて一直線に走り出していた。
逞しい背中がフィールドから背を向ける。

『おおっとアメリカ早くもレギュラー陣が交代し、ホーマー君率いる補欠チームの登場だーっ!!』
「マッスル ジ・アメ――リカ――!!」

ベンチの選手がいきり立ち、フィールドのスタートメンバー達は次々とヘルメットを外し始めた。
オセロの色が変わるみたいにあっさりと、チームの編成も変わる。ごく、あっさりと。

「…なんだ」
「―」

ベンチに座ってスコアを付けようとしていたもまた、拍子抜けしたようにぽつりと呟いた。
気の抜けたように、ひどく残念そうにも聞こえたその独り言を目ざとく拾い上げバッドはちらりとをみやる。
白いジャージに、真っ直ぐな黒髪、赤いバインダー、いつものスタイルに加えて、ブラウンフレームの眼鏡。

「もっと旦那の活躍が見たかったのか?ワイフ」
ばっ・・・!なにいって」

目を見開いて言葉を詰まらす。ほんのり顔が赤いのはお約束だ。
にやり、そう笑って茶化したバッドの期待に一番応えるようなリアクション。
少し天の邪鬼の気があるを、からかうのは面白い。(限りなく100に近い99%がMr.ドンの専売特許であるが)

「元気出せよ、そのうち強い奴とも当たるさ」
「そーいう誤解招く言い方やめてよドンの耳に入ったら面倒くさいから!!」
「わーかってるって、照れんなよ」
「タタンカ助けてこの人ドンの次に話通じない!!!!」
、落ち着いて・・・バッドもいい加減にしないか」

ヘルメットを傍らに持って静かに佇んでいたタタンカがとバッドをいなす。
早くも喧嘩腰のの肩を宥めるように叩いている姿はまるで兄妹のようだ。
(タタンカはペンタグラムのよき良心とも言える。)

「あり?どしたの、ケンカ?」

ヘルメットを外し、身軽になったパンサーがいち早くベンチに戻って来て、目を丸くする。
すぐ後ろには、クリフォードが立っていた。

「Mr.ドンの雄姿が見れなくてワイフがイライラしてんだと」
「・・・」

珍獣でも見るような目つきのクリフォードが無言でを見やる。
瞳が語っていた、“目ェ腐ってんのか”(もしくは“頭湧いてんのか”でも可)

「そんなこと一っ言も言ってな・・・」
「―ずいぶんとまあかわいい口利けるようになったじゃねぇかKitty」
「ぎゃあ!!」
うぉわっっち!!Mr.ドン何時の間にっ!?」

じょわ、と鳥肌が目に見えそうなぐらいあからさまにが体を強ばらせ、パンサーが驚きのあまり飛び上がる。
何故かフィールドとは逆のほうから姿を現したMr.ドンが、当然のようにの肩を後ろから抱きしめた。

「っドン!!ちょ、スコア付けなきゃいけないんだから離してよ!」
「んなもん他のに頼め。せっかく時間が空いたんだ、構ってやる」
「やだ!!」
「残念だがKitty、お前に拒否権なんて気の利いたモンはねぇんだよ」
「法廷出ろこの独裁者!今日という今日は訴訟起こしてやるから!!」
「Mr.ドンもも・・・試合そっちのけでギャラリーの注目集まってるよ」

(おうじさまが口パクで“…バカップル”といいました。)
(くろひょうさんは慌てて口を塞ぎます。)

「もうちょっとニュージーランドと遊んでやってもよかったのに。あんまり見せ場が少ないとワイフが悲しむぜ?Mr.ドン」
「だからそんなこと思ってないってば!!」
「そんなかわいい面で言われても説得力ねぇんだよなあDear」
は…っぁぁああ!?自意識過剰!」
「首まで真っ赤だ」

左手の拘束が外れて、そのまま喉をたどるように、つぅ、と撫でていく。
つられて顔を仰け反らせたは腕一本分力が弛んだところを(それでも)渾身の力で払いのけた。
対面で向かい合う、ドンの顔が勝ち誇った笑みに染まっていく。

「お顔は正直だな、Kitty?」
「〜〜〜〜うるさいっ耳元で囁くな18禁!!地獄に堕ちろ!!」

あながち冗談ではないの威嚇じみた言葉が真っ直ぐドンに投げつけられた。
噛みつくように怒鳴る姿とは対照的に涼しい顔で、統べる者はの右手を自然な動作で掬い上げる。

「お前のエスコートがあるなら何処へでも喜んで」
「――――!!!」
「お利口だな」

ちゅ、と流れるような仕草で指先にキスを落とされた途端、急なスキンシップになかなか馴れや対応のできないが固まった。(馴れてたまるか!、の心の叫び)
その隙をすかさず突いて、Mr.ドンの右腕が、小柄な体をかっさらった。

「きっかり30分、アラームが鳴るまで誰一人ロッカーには来るなよ。いいな」

担ぎ上げたのポケットからタイマーを勝手に取り出して、目にも留まらぬ早さでアラームモードを設定する。
サイドスローで放られたそれをキャッチしたバッドは、ベンチの片隅にタイマーのストラップを引っ掛けた。
歌うように軽やかに、お決まりの台詞。

「“Yes,sir.”」
「“Good”」
「全っ然よくない!!てかっ、まさぐるなぁぁあぁあ!!

宙に浮いた手足がじたばたともがけばもがくほど、ドンの嗜虐心に火を点けるのだと選抜で集った星々は思うのだがはなかなか気付かない。そうして今日も。
埋まらない温度差や、正反対の性格を持ってしても、不思議な絆で結ばれている二人が離れることはないのだった。


 04 無意識

(―30 minutes later)
(「バッド、世の中には言っていいことと悪いことがあると思うんだ・・・あの人手加減とか知らないんだからほんとに勘弁して」
 「いや、なんて言うか・・・マジごめん。悪ノリし過ぎた俺が悪かった」)


++あとがき+++
捏造第四弾おほしさまでYA−HA−!!(爆)
なんか結局落ちが似たり寄ったりだ…OTL
大体【CERAMIC】のおほしさまたちの性格が定まってきました。
バッドはMr.ドンの次にいらんことする人、王子は遠慮なくドンと夢主のカップルを貶せる子、タタンカは長男的存在、パンサーは一番純粋です
あと夢主はツンデレンジャー(なんだそれ)
おほしさま、こんなかんじでしてみようかなと思います(・∀・)


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