「本庄、さん?」
「悪い。今は駄目だ。少し頭冷やす時間くれ・・・このままじゃ俺何するかわかんねぇから」

情けない声。の疑問が、ここまで伝わってくる。
どうか、近寄らないでくれ、普段なら有り得ないようなことを思った。
背を向ける。扉が閉まるのを待ちわびて、けれど隣室の灯りはいつまでも暗闇を四角く切り取ったままだ。
背中に温かな、感触。

「〜っ・・・
「お構い、なく」
「だから今はほんとに駄目なんだって」

胴に回された腕に戸惑って、本庄は額に手を当てる。
いつもなら決して、本庄の言葉に反しようとしないは穏やかに優しい反旗を翻した。
本庄を宥めるように、背中に頬擦りをして離れることはないと、その意志を垣間見せる。

「何をするか判らない。非道いことを、言うかもしれない」
「・・・平気、慣れてます」
「―」
「だからどうぞこっちに来て下さい、本庄さん」

一瞬のうちに、の歩んできた道のりの険しさを思い知る。
痛みに慣れ、立ち向かってきたのしなやかさが、染み入るように本庄を包みこんだ。
ああ、限界だ。本庄の今まで保ってきた大人のフリが瓦解する。
背中越しにあった体温を、引き剥がして自らの胸で抱き締める。華奢な背中が軋むほど、強く、きつく。加減なんて、してやれそうにもない。
剥き出しの想いの丈が、そのまま締め付ける強さに繋がっていった。
軋むの、細長い指が、そ、と本庄の頬を撫でる。
眉一つ寄せず、本庄を見上げるは優しく微笑んだ。

「火傷をしてでも」
「―――」
「欲しいものってありますよ」

海のような深い深い色が、本庄を見守っている。
そこに自らと同じような気持ちを見出した本庄は、ひたすら長く触れるキスをした。
焦がれる。ずっとそばにいたくて、埋まらない差異にもどかしさだけが募っていた。
それは、も同じだったのだ。

「―
「はい」

抱き締める力に全てを込めて、くちづけに想いを注ぎ込む。



 13 のはいや、うんとのがいい

(はなれない、はなさない)


++あとがき+++
無駄にシリアスに挑戦…こんな日もある(ry
本庄さんは常に余裕綽々のイメージがあるけどこういう日もきっとあr(ry
シリアスは難しいなー…
夢主が依存ではなく、お互いに支え合ってたらいいよねという妄想
なにかと余裕のないギリギリの本庄氏を書くのは意外と楽しかったです。ぎゃ、ギャップ萌?


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