「雷門太郎のビデオなら見た。つまらない選手だったよ」
そう、つまらない、不可解な人間だった。
どこか必死に、何かを訴えるように
頼みもしないのに、雷門太郎は切々と自分の父親に対する憧憬を語るだけ語って
『王城戦でいきなり俺の前に現れて、あのでっけえ手。
どんだけ嬉しかったか・・・・・・・・俺のこと思ってくれた!応援してくれた!
なんて、無邪気に喜んじまってよ。ハハハ、やっぱ馬鹿MAXだなァ俺!』
自暴自棄。まさにその言葉がぴったりくるほど切羽詰まっていたようで
『俺はただの当て馬じゃねえか。敵のいねえサラブレッドをちょっと愉しませるためのよ。
当て馬探しに来てただけじゃねえか・・・』
「・・・・・・・・・・」
よく言ったものだ。
雷門太郎が父をどれだけ尊敬しているかは知らないが、勘違いも甚だしい。
確かなことは、ただひとつ
「「鷹?」」
二つの声が、ユニゾンしながら鷹を呼ぶ。
運転席と助手席から、二人がこちらを伺っていた。
「どうしたの?なんか疲れてない?」
「調子悪いのか?」
「なんでもない。ほら、もうすぐ信号変わるだろ。ちゃんと前見て運転してよ」
「?」
「なんともないなら、いいんだけど・・・」
父は決して当て馬を探しに関東大会に足を運んだのではない、と言うこと。
「・・・反抗期かな」
「鷹もお年頃なんですよ」
「はは、もな」
父と未来の母がおおよそ不必要な危惧をする中、鷹は静かに溜息を吐いた。
傍観者オンステージ
(「・・・父さんと、若干1名からすごい誤解招いてるんだけど」
「ん?」
「へ?」
「・・・・・・・ハア」)
鷹の当て馬を探しに来てたわけでもなく、モン太を応援しに来てたわけでもなく、
奥 さ ん の 雄 姿 を 見 に 来 て い た 本 庄 氏 (笑)
本誌を読み返していてふと浮かんできたネタです。モン太と鷹が哀れ。
知らぬは当人ばかりなり、ですです。本庄ファミリー大好きだー。
タイトル*暗くなるまで待ってさまより
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