の長い手指が支えるハードカバーの、裏表紙を見た時点で“まずい”と思った。
背表紙を見なくてもタイトルは分かる。最近話題の一冊だ。
爽やかな色合いの装丁が印象的で、それだけでも思わず目を引かれるような意匠のもの。
その本をなんとか巧く取り上げれるような口実を鷹が思案する前に、その本が残り数ページまできているのにようやく気付く。ますますまずい。
今更止めても遅いだろう、物語は中程のページで急展開を迎えるのだ。
少し前に読み終えた鷹は、決してこの話をや父には読ませたりしないと固く心に誓って気を使っていたというのに誰だ趣味特技アメフトのに推理小説なんか薦めた奴。
鷹の逡巡を余所にぱたり、ハードカバー独特の音を立ててが本を閉じた。
しばし、沈黙。
「……………よまなきゃよかった」
左手で目元から額にかけてを覆ったが、蚊の鳴くような声で呟いた。
潤んで、弛んで、ほつれた声が水の気配を容易に連想させる(…ああもうばか!)
片手でも十分に顔半分を隠せる手のひらが小刻みに震えた。
「ほ、ほんじょうさんが、もし、こんなふうに思っ、てたら、どっ、どうしよっ…ぅ」
「…ない。それは絶っ対ない、だから泣かないで、大丈夫だよ」
「だって、あとがき…」
「…、あとがきまで読んだの?」
ジャンルとしては推理小説だが、この本の題材に使ってあるのは『年の差の恋』
様々な葛藤や、心理が(を見る限りでも)相当忠実に表現された内容は、鷹もだいぶと衝撃を受けた。
語り口調やテンポの良さで読み進めれる、面白い話だったが読後感云々はともかく、ハッピーエンドでは終わらない深い作品。
だからこそ、の前では話題にしなかったのに!
「良く作り込んでる話だし、数字とか描写とか細かくてリアルだったけどこれはフィクション。父さんは父さんだし、はだ。それじゃだめなの?」
「だめ じゃない、けどっ…でも、鷹〜…」
「、お願いだから泣かないで…」
ハンカチを差し出して、鷹は心底困った声でを宥める。
人を慰めるのはあまり得意ではないし、正直嫌いなのだが、それ以上にに―母さんに―泣かれるのは嫌だ。
後日大和にそうぼやいたら、鷹は本庄理事に似てきたねとしみじみ呟かれた。
きみが笑わなくっちゃ
(「だって鷹はもうのこと大好きじゃないか」
「…誤解を招く言い方はよしてよ」)
++あとがき+++
鷹はいい子^q^
大和の言葉も否定はしないんだよ!
『未来の母親に慣れないながらも気を使う鷹とか良くないかコレ』が最近の菱のマイブーム
確実に父の背中を見て育っとる感満載
父性本能働きまくってる面倒見の良い鷹とか、母親の涙に弱い鷹とか菱は一体鷹になにを求める気/(^q^)\
だって普段は物静かな鷹が焦ったり必死だったり初孫生まれたおじいちゃんみたいに落ち着きなかったりすると萌 え な い で す か?(全国の鷹ファンの皆様に土下座)
(…ああもうばか!)のくだりが一番楽しかった
本庄家長男はとっても出来たお子さんです(笑)
タイトル*ララドールさまより
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