□■しいな宅「夢想スタイル」さまより、夢主ひな子ちゃんとのコラボレーションなお話です■□

―ゴツン!

暗闇の中、もう聞き慣れてしまった鈍い音で目が覚めた。
アメリカに来てからほぼ毎日、もう習慣のようになってしまったそれに、ヒナは手早く電気スタンドのスイッチを押す。
ぼんやりとした灯りに浮かび上がるのはホテル特有の固定電話、判を押したように同じタイプのベッドと簡単なテーブルセット、そして…ベッドから落ちた

「あわわ先輩っ、大丈夫ですか??」
「っ…!」

いつもどこかしらを押さえてうなだれる彼女の肩は小刻みに震えたまま、何かを堪えるように掌は握りしめられた。
ヒナはもうすっかり把握してしまった照明のスイッチをオンにして、隣のベッドに歩み寄る。
湿布は寝る前からベッドのすぐ横に置いておいたので探すは必要なかった。
今日は見事な顔面着陸。幸か不幸か鼻は無事だったようだが気合いで起きあがったの額の被害は甚大だ。

「先輩、し、湿布貼りますよ?」
「毎晩毎晩ほんとにごめんね…」
「これぐらい大丈夫です!でも先輩は選手なんですから本当に怪我だけは…」
「きをつけます…」

痛みで上擦った声が揺れる。
ほんのり赤くなった額や、赤から青に変わってしまった手首や肘やふくらはぎの痣や擦り傷はみんな、ホテルのベッドから落ちたときに何かしら打ちつけてしまったものだ。
腕や足が長いと落ちたときのダメージも上がるということを、と同室になってからヒナは初めて知った。
大柄なのサイズには足りないのか、彼女は毎晩決まって一回はベッドから落ちる。
その都度床に顔をぶつけたり肘を打ったり、一度はサイドボードの角で引っかいたりとは確実に生傷を増やしていった。

          * * *


「大和くん達ってベッドから落っこちたりする?」

その次の日の朝、なにかいい方法はないかと同じ帝黒の大和や鷹にそう告げると二人は同じ方向に首を傾げる。
順を追ってヒナが説明するにつれて、二人も徐々に表情を崩していった。

「寝相が悪いとかじゃないと思うんだけど、でもいっつも決まって左側に落っこちちゃうの。一回なんかサイドボードの角で鎖骨強打しちゃって…」
「そう…」

あの夜は一番すごかったと、ともすれば多大なる誤解を招きそうだが、そう言うより外ならない。
王城の桜庭選手が一度鎖骨を折って重傷、と聞いたことのあるヒナはそれはそれは肝を冷やしたものだ。
そう物思いに耽りかけたヒナは、ふと、帝黒の両雄が静まりかえっていることに気付く。
数秒の後に彼らはまったく正反対のリアクションを見せた。
あの大和が膝から崩れ落ち、鷹は鷹でいつもよりもっと儚く遠い目をしている。
二人にはなにか読めたのだろうか、訳知り顔、そんな風に見える気がした。

「ぶっ…くく、あはははは!それは是非本庄氏に教えてあげるべきだよヒナ!」
「ああもう本当には……ハァ………」
「??」

頭を抱えた鷹と腹を抱えた大和に挟まれて、ヒナは疑問符を飛ばす。
当初は置いてきぼりにされたヒナだが、一通り笑い転げた大和から最終的にの謎の転落癖の理由を教えてもらうことが出来た(鷹が渋りに渋ったものの)

「平たく言うと本庄氏の所為だよね」

の行動の根底は、たいてい本庄に繋がると言うことをヒナは知る。







(「多分は本庄氏がいないとベッドの距離感が測れないんだよ。一人だと無意識のうちに本庄氏の分を空けてるんじゃないかな!普段一緒に寝てるってポロッと口を割ってたから間違いないさ」
「…大和くんそれ余所でポロッと言っちゃだめだよ?」)


++あとがき+++
やっと念願ヒナちゃんとのコラボレーション!!
大和のヒナちゃんのつもりで書いた割には手錠とか大和のシーザーっぷりとかを生かしきれなかった…宿題として次回に持ち越しします
そして相変わらずの嫁のアレ具合ごめんなさいデフォルトがこれ(土下座)
本来なら大和のヒナちゃんと同室なんて大和的な事情であり得んことなんですが…我慢できませんでしたしいなごめん
ヒナちゃんに介抱してもらいたかっry
鷹のヒナちゃんと母娘!な話とか陸のヒナちゃんとか筧のヒナちゃんとか今度こそ本領発揮の大和と大和のヒナちゃんとかにも挑戦したいな!ワイフと凛ちゃんも!夢膨らみがち!←
次も多分なにかしらバカップル全開だとは思いますが、テンション高め愛てんこもりをモットーにいきたいと菱は胸に誓います!
大事なヒナちゃんをありがとうございました!

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タイトル*ララドールさまより


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