※ 312th down「新世代へ」ネタバレ注意(王城夢主設定)
、チームジャパンの紅一点プレイヤー。
日本人特有の黒ではなく、柔らかなブラウンの髪をライオンのように跳ねさせた、背の高い女の子。
バッドを始め、ペンタグラムの面々は、知り合って間もない彼女にいろんな意味で興味をそそられた。
例えば、超ド級のへたれ具合。
「うわ、うわわわわぁあ……!」
「やば、駄目だってバッド見つかる!」
「いっ!き、気付かれたぁ!」
暇つぶしの一環で、昔バッドの出ていたアクション多い目ホラーの恋愛風味映画をビジョンに映し出して見せれば、それはもう映画よりそれを鑑賞する(とパンサー)のほうが面白いくらいのリアクションを披露してくれた。(役者冥利に尽きるというものである)
テレビの真正面に位置するソファーの背もたれに精一杯にじりよって、腰が引けまくりの二人を見やるバッドとタタンカの肩は先程から震えっぱなしだ。勿論笑いを堪える方向で。
ドンなど余計と酷いもので、わざと音を立ててグラスをテーブルに置いたりして下級生を脅かしていた。
ひとつのモーションが起きる度にびくびくと身を寄せ合う二人の背格好が大柄かつかなりグローバルな組み合わせな分無駄に微笑ましい。(あー、なんか犬みてぇだな)
ライオンとパンサーがなんてザマだ、呆れたようにクリフォードが呟いた。
フィールドでは敵なしのランニングバックとタイトエンドは、その長い手足を余すことなく縮込めて、ますますソファーの利用面積を狭めている。
大人四人が座ってもゆうに収まりそうな豪奢なソファーの、ある意味贅沢な使い方だ。
ストーリーが佳境に入るにつれて獅子と黒豹の言葉数は顕著に減り、代わりにしっかりと手を繋ぎあって画面を食い入るように見る姿などもはや一つの死線をくぐり抜けた戦友のようだった。(コイツらまじで面白ぇ)
「うはー…怖かった」
「ものすごく臨場感あふれる作品でした」
律儀にエンドロールまで見てから、ぐたりとソファーに沈んだパンサーが天を仰ぎ、対照的には俯く。
ぐすり、鼻を鳴らして顔の下半分を覆うにハンカチを差し出しながら、タタンカが苦笑いを零した。
ラストシーンの恋人との離別というありがちな展開に、思いもよらず号泣するあたり、何というかもう、愛すべき観客である。
「バッドが出てる映画でそんなに泣けル?」
「ひっでぇ!なんだよそれ」
「いや、だって…もう、最後が…ぅ」
「…お前泣きすぎ」
「い゛だだだだだだ」
それっぽく落としていた照明を戻しがてら席を立ったクリフォードがのあてがったハンカチをぐしゃぐしゃと無造作に動かす。
顔に押しつけられた手指から逃げようともがく様を見て、ほんの少しだけクリフォードの口の端が上がった。
――……ガタン!
夜も少し奥まった頃のこの時間に上がった物音、カーテンを引いた外側のちょうどバルコニーがあるあたりから、聞こえてきたそれ。
先程までの映画の名残が、過敏になった耳は正確に音を拾う。
びっくん!肩を震わせたパンサーと、すぅ、と目を細めて立ち上がりかけたドンの対照的な、(特にドンにいたっては本職の人の匂いが洒落にならないからやめてほしい)その挙動を征する形ではすらりと長い左の腕で二人を宥めた。
自身はいち早く音の方へ。敏捷なさまで素早く静かに耳をそばだててから、カーテンをはねのけて窓を開ける。
体一つ分の隙間に肩を滑らせて少しの間、濃い闇を伺ってから、くるり、が振り返った。
「特に別状はなさそうな…」
「勇ましいなオイ」
後ろ手で施錠をして、カーテンを行儀良く戻す姿は頼もしいことこの上ない。
まるでか弱い女性を庇うように、ペンタグラムと呼ばれる5人の男を背中に守って(心なしどころか確実に凛々しい顔立ちで)立ち振る舞う姿は、フットボールフィールドに立ったときのそれと似通っていた。
先程までは散々ホラーの演出にビビリ上がっていたくせに、この行動力の根源はいったい何なんだろうか。
情けない、みっともない、だらしないイライラする見苦しいと常々クリフォードから諫められる猫背(あれは確実に言い過ぎだとドンは考える)も、すらりと緩やかなS字を描いていた。
「さんかっけー…!!」
「ほんと人って表と裏の顔持ってるんだなー…」
「コイツのはもう二重人格だろうが」
「あの、しみじみ言われると…それなりに切ないというか…何というか…」
「、また背中曲がってル」
「そう虐めてやるな、お前たち」
タタンカの指摘通りにまた俯きがちになった背中をぽふりと叩くドンが一番えげつない笑顔をしているのには、あえて触れることが出来ない。
珍獣を見るような視線に眉を下げながら、は乾いた苦笑いを零した。
「超絶“へたれ”のお前がアメフトをやってること事態がもはや神秘なんだよ」
「わ、わざわざ日本語で発音しなくても……」
「そもそもさんって何でアメフト始めたの?」
へたれ、の部分だけを正しい日本語で発音したクリフォードの指摘を受けて、パンサーが首を傾げる。
隣り合って座る二人が、鏡写しのように顔を斜めに肩へと近付けた。(お前ら本当仲よしだな)
「日本で女子アメフトはマイナーの部類に入るだろウ?」
「あれか、旦那の影響?」
「だ、旦那……」
husband、そう言ったバッドの言葉に、ぼふん!の存外色白の肌が赤く染まる。
両手で顔を覆って背中を丸める姿は、ますますフィールドの彼女から遠ざかっていった。
「くくっ、なんだ図星か?」
「ち…が い ます、よっ!本庄さんとは、三年前に初めて…」
「お前…ジュニアハイスクールで子持ちに惚れたのか」
「うっそ、じゃあ何ものの三年でゴールイン?」
「え!さんもう結婚してんの!?」
「ずいぶんまた思い切ったナ」
「なんか色々っ間違ってますっ!!!!」
茶々を入れる4人(パンサー除く)の期待に応える形で、が叫ぶ。
ぜぇはぁと肩を怒らせる姿に、彼らは少しの悪戯心を織り交ぜて心底可笑しそうに笑い声を上げた。
「それで?アメフトを始めた理由は?」
背もたれにぼふりと身を沈ませてバッドが尋ねる。
中途半端に握りしめていた拳を解いて、やるせなく行き場を失った薄茶の瞳がうろうろと逸れた。
からかいたい気持ちを必死で押さえて、星々はの言葉を待つ。
「お、面白くないですからねっ…笑わないでくださいよ!?」
その時点で物凄く笑いを誘われる彼らだが、そこは流石というか、素晴らしい連帯感でポーカーフェイスを全員が貫く。
もちろン、そう囁かれてようやく、は口を開いた。
わかりきったエンドレス
(「ぶっ、…くくっ」
「はほんとにかわいいなぁ」
「〜〜〜もうっ!!」
「怒るな怒るな」)
++あとがき+++
初の王城夢主ミーツペンタグラム!
試験的なので色々時間軸とかおかしいですが(こら)ベースはこんなかんじで多分…多分!(こら)
たとえか弱いチアメンバーだろうとライン組だろうとペンタグラムだろうと扱いは変わらない←…
夜中にベランダから物音→先陣きって探索に行くのが王城夢主です。
ほんとは丸めた雑誌とか持たせるつもりだったんですが、あまりに勇ましすぎだったので丸腰にしました(笑)
へたれだけどやるときはやる子。それが嫁。
王子にとって嫁の猫背はあるまじき行為
猫背でいると無言で舌打ちされるという超理不尽なプレッシャーに怯える嫁容易に想像できる^q^
嫁はパンサーみたくペンタグラムみんなからかわいがられると良いよ!
あの中だったら身長もそんなにコンプレックスにはならないだろうから(パンサー≦)居心地も悪くないだろう的な話も書きたいな^^
周りがみんな大きいから星組といるときだけは猫背が徐々になくなったりして!
本庄さんはそれを微笑ましく見守るにちがいないバカップル!あっ違った良い夫婦\(^o^)/←…
そのうちワイフも入れたいな!
タイトル*ララドールさまより
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