黒豹、そう呼ばれるパンサーの足は、本当に疾い。
光速破りの4秒1、プロならともかく16歳で、その記録を叩き出したのはすばらしい快挙だろう。
獅子と呼ばれるもその点では負けず劣らず雄々しい、record―記録的な実力を持つのだが、それはまた、別の話。
その足の疾いパンサーが、ことさら大慌てで、それはもう凄まじい砂埃と共に現れたのを見て、バッドは歴史ある四秒ジャストの瞬間に立ち会ったかと一瞬思った。
そのぐらい、鬼気迫るものがあったわけなのだが―
かちかちかちかち、小刻みに奥歯が震える。
方々に上を向いたり下を向いたり、斜め上、真後ろ、明後日の方角と顔を背けた五芒星はそれぞれ口を手のひらで塞いだ。
腹の底から息を吐き出して呼吸をただそうと試みるも、互いに目を合わせるとまた、震えが再発してしまう。
もはや時間の問題とも言えるその理性の攻防に終止符を打つべく、はそろりと声を上げた。
「あの…体に毒でしょうから、どうぞご存分に」
「いや、しかし、それは、あぁ…何だ、き、傷付くだろう…?」
振り向いたドンは強靱な体躯を押さえ込むように腕を組んで、瞼を伏せたまま苦しげな眉間は層を作る。
この状態で会話を出来るなんて流石はMr.ドン、心の中で感嘆の息をもらしながら、は肩を落とした。
「むしろこっちのほうがよほど辛いです、Mr.ドンの言葉を借りるならば哀しいです。お願いしますどうか堪えるのやめて下さい」
の決死の懇願、やめて下さい、の、『さ』辺りで、ぶはっ!絶えかねたタタンカが咳き込む。咽せる。
引き金は、些細だ。爆竹が破裂するように、タタンカ、バッド、クリフォード、パンサー、そして最後の砦、Mr.ドン。
隣り合う人から人へと連鎖反応のように激動の波が、彼らをさらった。
「す、すまん、もう限界ダ…!」
「だって、おま、ハハハハハハっ!な、なにがどうなったらそんなことになるんだよっ」
「ごほっ、あぁ、ごめんなさい、さんが、た…大変な、ときに」
「お前…笑いがとりたくて…っやってんじゃねぇのかよッ」
ぎぎぎぎぎぎ、奥歯を噛みしめて爆笑を何とか治めようとするクリフォードの言葉に眉を下げる。(腹を抱えて笑うのはきっとプライドが許さないんだろう)
が僅かに身じろいだ拍子に、ぎし、とポールが危なげな音を立てたものだから、とうとうバッドは膝から地面に崩れ落ちた。
誰も彼もが似通った形で、爆笑する訳は―
「こ、此処はマネージャー用で低い目だから、仕方ないよナ…っ」
「ああ…すまなかったな獅子よ、今助ける」
がっしりとしたドンの手のひらがの体を支え、複雑に絡んだ髪をタタンカが解く。
アメリカの男女平均身長175p・162pよりも幾ばくか高いはようやくその状況から解放された。
猫が日陰に君はここに
(「も…物干し台に引っかかるなんて…っ!」)
++あとがき+++
マネージャーさんのお手伝いでまさかのアクシデント(爆)
ペンタグラムのみなさんはレスキューに助けられる野良猫or首根っこ捕まれた猫
を見るような微温い眼差しです^q^
物干し台がアメリカにあるかとか細かい面は気にしないことにしましtttttt
一回はやってみたい『物干し台に引っかかる』ネタでしたが、しかしこれ嫁があほの子としか思えな(禁句)
タイトル*ララドールさまより
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