とすり、甘えるように腰に腕が回される。
向かい合って近い距離でに微笑む、大和が丁寧に一枚の紙をたたみ直した。
四つ折りにした便箋を封筒にしまって、す、と自らの制服の胸ポケットに入れる。
しかとポケットに収まったのを確かめるように、大和は自身の左胸をポンポンと二回ほど叩いた。そして晴れやかに、笑顔。
「俺は今からこの差出人を、人気のない所で殺そうと思う」
「ごめん!!大和ごめんちゃんと断るから許して!!!!」
初夏の爽やかな風のようにからり、親しみのある笑顔で話されてもその内容は聞き捨てならないまさかの予告殺人である。
背後にきらきらしいものを背負って言うことではない。絶対ない。
有言実行、アメフトの試合に限らずそのスタンスを持つ彼の絶対予告に、ひやりとしたものが背筋に流れるのをは感じた。
全力で提案をに拒絶されたのが意外だったのか、大和がきょとりと目を丸くする。
ふむ、考える仕草をとった年下の恋人はの髪を優しく梳いた。
「なら譲歩して………埋める」
「それが大和なりの優しさなのはわかるけど埋めちゃ駄目!!!!!!」
「ははっ、冗談さ。そんなに優しく殺さないよ。じわじわいたぶって思い知らせてあげなくちゃ!」
「ごめん大和笑えない!!全然ジョークに聞こえない!!!」
ダメだ、全くの意図するところを汲んでくれていない。
詰め寄るの、腕にかかった掌を慈しむように撫でて、大和はただただ甘い笑顔を浮かべた。
「心配しないで、上手くやる」
「やーまーと――――!!!!!」
心身ともに逞しい大和にならば、大抵の人は一捻りだ。
それだけはいけない。色んな意味で。
大和は、真っ直ぐなのだ。真っ直ぐで素直で、だからこそ自分に正直すぎてこんな事になったのであるが、とにかく思いとどまらせなければ。
どうにかして彼を、彼の凶行を止めるべく、はしっかりと両手で大和の顔を挟んで額を付き合わせる。
ん?と屈託なく微笑む彼が、難攻不落の城に見えた気がしては腹の底から溜息を吐いた。
この世で一番罪深き
(ははっ、だって正直な話鬱陶しいじゃないか!)
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