□■天宅「Xの定義」さまより、夢主クロノスちゃんとのコラボレーションなお話です■□
油性マジックを手にすると、異様に落書きがしたくなる。
カプセルの片割れの(日本で言うくす玉の)ような半円形発泡スチロールの内側を、黒々と塗りつぶしながらバッドは考えた。
寝顔に落書き、がやはり一番王道だろう。
ツン、と鼻につく独特の匂いで失敗に終わることもあるが、面白みやスリルが多いのは楽しみへのスパイスだ。
ただし、今この場に集結した面々―ペンタグラムに、クロノス、の計7名―のうちパンサー以外は仕返しが末恐ろしくて、とてもとても実力行使に出る気にはなれない。
ハイリスク・ローリターン、特にクロノスとに手を出した日にはそれなりの覚悟が必要だ。(うわ、想像しただけでぶるっときた)
だが考える間もなく、実行に移した2本の腕は迷いがなかった。
がしぃっ!左腕と首根っこをそれぞれ掴まれてバッドは目を見張る。
「あれ、次ってeだっけ、aだっけ」
「a。…チッ、発色悪ィな。おいパンサー紫貸せ」
「や、やめてよ二人とも〜!」
クロノスはバッドの左腕に、クリフォードはティーシャツの背中に、それぞれ何のためらいもなく軽快な音でマジックを走らせる。
あまりの迷いのなさに呆けるバッドとおたおたといたずらっ子二人を諫めるパンサーを後目に、簡易ライトを分解しているタタンカがしれっと呟いた。
「クロノス、あんまり大きく書くと全部書ききれないゾ」
「ちょっ、腕はともかく背中はやめてって!!」
「ほどほどにしておけよ、お前達」
「パンサーとバッド以外の四人、今すぐ“悪戯心”を捨ててこい!!!」
往々に言葉が飛び交って、最後にの叱声が飛ぶ。
星座表を片手にドンと二人で精密な星の位置をトレーシングペーパーに写していた彼女は、まったく…と溜息を零した。
「王子とクロノスちゃんは油性マジック没収」
「えぇ〜!だって、マジックとバッドがそこにあったらやることってひとつじゃん…!」
「マジック臭くてムシャクシャしてた所にタイミング良くいたバッドが悪い」
「黙らっしゃいこの駄々っ子達め。なにその俺ルールと連携プレ…」
「「愛」」
「よーしよしよし、反省の色って何色かなっ!?」
「あだっ!」「てっ…!」
ぱこんぱこん!現役アメフトプレイヤー達をしのぐ反応速度で、の腕が動いた。
丸めた星座表が二人の脳天を打つ。
不満そうに声を上げた二人を引き連れ、バッドのほうにはクレンジングシートを投げて寄越すと、はパンサーが塗り終えたもう片方の半円を手にクロノス達に向き直った。
「内側の印にはヤスリを軽くかけて、外側の印には穴をあけて。アイスピック使うときは怪我に気を付けてねクォーターバックさん達」
いいこと?ケンカしたり悪ふざけたりしないのよ?そう釘を指すと席を離れる。
さくさくと指示を出すとは部屋を暗くする為に用意していた暗幕を広げ始めた。
「ドン、パンサー、タタンカ、暗幕貼るから手伝って。バッドも、塗り終わったらクロノスちゃん達に渡してこっちに来てね」
言葉をなぞるように、それぞれが止めていた手をそれぞれ再開させる。
両面テープや押しピンできっちり窓を半分隠したところでバッドもそちらに加わった。
パンサーが楽しそうにそわそわして、クロノスは時折はしゃいだ声を上げる。
「!ちょっとだけ余分に穴空けてもい?」
「いいよ、クリフォード星とクロノス星とか作りたいの?」
「!!ちっ、ちがっ…ちがうもんの意地悪!」
「ドン、あれが俗に言う“図星”カ?」
「ああ、良い例だな」
「タタンカとドンのアホっ!!ゴボウ座とアヒル座作ってやるバカー!!」
「愛されてんなあクリフォーどわぁ!!」
「くくくクリフォード!!アイスピックは投げちゃだめー!!」
雑然とした言葉が流星群のようにひっきりなしに飛び回る。
クリフォードがバッドにガチンコ勝負を挑んだところで一度作業が中断されたものの、暗幕を全て張り終える少し前にはクロノスとクリフォードが全ての星を手作りの夜空に移し替えた。
「!できた!」
「はい、ありがとう。助かったわ、後は任せて」
30pにも満たない直径の半球をふたつ受け取って合わせると、タタンカがライトから取り出した電球を入れる。
つなぎ目から光が漏れないように絶縁テープでしっかりととめるとはテーブルの真ん中にそれを置いた。
「―座って?」
照明のリモコンを片手にが呟く。
電気を消して真っ暗な部屋に、一呼吸置いた後で、簡易プラネタリウムのスイッチが入れられた。
ふわり、壁一面に広がるお手製の星や天の川。
先程クリフォード達が穴を空けたところは星の位置に、残念ながら今年も雨で見れそうにない今日の天の川は、ヤスリの痕が代打をしているのだそうだ。
想像以上にしっかりと、天体はきらめく。
「わーすっげー!」
「やったー!大成功!」
歓声を上げたパンサーに釣られるように、笑顔を言葉に載せたクロノスを見て、クリフォードがかすかに微笑んだ。
あらかじめ彼女以外は隠し持っていた、クラッカーを暗闇に乗じて全員が手に忍ばせる。
ピッ!心なしかいつもより勢いよい電子音で、は電気を再びONに変えた。
目を丸くしたクロノスに向けて色とりどりの紙吹雪が舞う。
『Happy birthday!May your days be filled with happiness!』
「えっ!なんで知ってんの!?」
「俺達が知らないとでも思ったのか?」
「うちのの国防省級の情報網なめんなよ!」
名のない最高傑作
(世界でつながる七つ星)
『誕生日おめでとう!あなたの日々が幸せで満たされますように!』
++あとがき+++
と言うわけでクロノスちゃんお誕生日おめでとうございます!
天の日記を見てなぜか菱の方がうかれきってるこの感じ(爆)
七夕はペンタグラムの日を推進していた菱と【CERAMIC】としては外せないイベント!に突き動かされてまさかまさかの初コラボレーション!です!
愛だけはたんまり!ごちそうさまは言わせない!を合い言葉に、ペンタグラム+αでお祝い。
ちなみにこのあとはウエディングケーキみたいなでっかい三段ケーキを筆頭に色んなプレゼントが登場します。クロノスちゃんが若干引くぐらいの量です←…菱と同じぐらいペンタグラムたちも浮かれてます
直前になっての作品ですが、
本当に本当におめでとうございます!
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タイトル*ララドールさまより
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