ばさばさばさ、と厚みも大きさもまちまちのテキストが机の上に重ねれる。
フランス、ドイツ、ポルトガル、スペイン…どれも語学関係の、すこし年季の入ったテキストだ。
一通りを並べたが一冊を手にとってページを開く。

「どれもマーカーの色は揃えてあるからね。赤が一番大事なところでその次が青、オレンジ、緑の順番」
「分からない所があれば言うと良い」
「ありがとう、二人とも。助かるよ」
「どういたしまして」

ここに広げたのはが会話には困らない程度に話せるようになった言語の教本だ。
今も新しい言葉に挑戦するは、ラテン語をドンから教わっているのだとか。
一番近くにあったテキストを手にとってパラパラと中身をめくってみる。
バッドの手元を覗き込んだパンサーが感心したような声を上げた。

「うわ〜、すっごい書き込み」
「ワイフこれ全部こっちに来てから覚えたんだろ〜?」
「軽く変態だな」
「あらやだクリフォードったらお口が悪いっ」

ぼそり、呟いたクリフォードにのチョップが飛ぶ。
身を乗り出した拍子にひらりとテキストの間から一枚の紙切れが逃げ出した。
足下に落ちたB5サイズの用紙を拾い上げて、バッドは目の高さまで掲げて見る。

「なにこれ?」
「あぁ、懐かしいな」
「…恐れ多くもドンお手製の小テスト」
「…問題が一問しかない上に論文みたいにびっちり文字が詰まってるにも関わらずケアレスミスっぽいの一つ?でdisqualification(不合格)ってどうなのコレ」
「Mr.ドンの名言を教えてあげようか、バッド。“満点以外は認めない”」

の顔が若干青ざめたふうに見えるのはきっと気のせいではないだろう、当時を思い出したのか口元が引きつったままだ。
もう一度採点用紙とを見比べたバッドは静かに紙を机に置く。

「お前の実力を考慮した上での配慮だが?」
「な・に・が・よ!タタンカにはそうでもない癖に私の時はすっごいスパルタを発揮しやがって…」
「しごいてもしごいても起き上がる者がいればこちらとていびりたくなるのが人の性だろう?」
「いや、それMr.ドンとクリフォードだけかと…」
「パンサー、俺を同じ並びに置くな」
「ワイフもよく耐えたよな」
「おかげさまで随分上達が速まったわよ」
「も、物凄い力業だな…」
「安心しろ、タタンカ。後輩をしごく趣味はない」
「そうでしょうねアンタはその分こっちで発散するからなこん畜生!!」
「ワイフワイフ、涙が…」







(思い出す度鳥肌です)


++あとがき+++
Mr.ドンの楽しい語学講座(笑)ワイフはドンのドS心にことごとく火をつける星の元に産まれた子^q^
どんなペナルティが待ってるかは皆さまのご想像やご期待にお任せします←…

タイトル*ララドールさまより


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