□■天宅「Xの定義」さまより、夢主クロノスちゃんとのコラボレーションなお話です■□
一言で言うなれば、衝撃。
現実を受け入れかねる脳内は、許容を越した出来事にすべての機能を放棄した。
考えることができない。今目の前に広がる光景が何で、どうしてそんなことになっているのか。
唯一握ったドアノブの冷たさだけが今の自分の感覚をつなぎ止める唯一だ。
静まり返った空間で、固まったまま、目に映るのは黒、白、それに金。
息を呑む、そしてこの信じがたい状況から逃れるべく、思いっきりドアを閉めて、本気のダッシュ。
見慣れないアメリカチームが使う施設の廊下を駆け抜けて駆け抜けて、そして見慣れた4人の元までラストスパートをかけた。多分自己ベスト更新。
怪訝な顔をする彼らに突っ込むように駆け寄ると、クリフォードのユニフォームをがっちりと握りしめた。
眉間に寄った皺が怖いとかそんなことに構ってる暇はない。というか今さっき目の当たりにした光景のほうがよっぽど怖い。だから、ちょ、まじ誰かこの衝撃なんとかして
「オイ、どんな面してんだお前」
「何だよクロノス、爪も治ってないじゃん」
「顔色悪いゾ」
「ワイフ見つからなかったの?」
口々に話す彼らの言葉を聞いて、自分の爪が割れかけていたことを思い出す。
そうだ、相変わらず唐突に練習呼び出されたりして、それでアメリカチームに混ざってミニゲームっぽいことしてて、そしたらうっかり爪を引っかけちゃったんだ。
そしたらバッドが、“ワイフ”って人がそういうの治すの上手いから、見てもらったらって言ったから、あたしはミーティングルームにお邪魔しまーすって(ちゃんとノックもしたし!)行ったら…行ったら!!
うっかり思い出したビジョンに再びぞわっとして、クリフォードに詰め寄る。
あぁん?的な顔をしながらもあたしの腕を振り払わない辺りに少なからずときめきつつも、頭の中は相変わらず大混乱のまま、あたしはカラッカラに乾いた口を開いた。
「みっ…みみみみ、み、Mr.ドン、を…」
「ドン?」
予想に違わず呂律が回らないながらも、どうにか伝えようと試みる。
聞き返してきたクリフォードにぶんぶんと頷いて、は〜…と深呼吸。よし、よし、多分いける。
あたしだって死ぬほど驚いたんだからね、みんなも覚悟してよね。心の中でそう呟いてひと思いに全てを言葉に代える。
「ひ、ひざ、跪かせてる女の人が―――!!!」
『はあ!?』
ようやく胸の内のつっかえを外した気分で叫ぶ。
一番良いリアクションはやっぱりというかなんと言うかパンサーで、目玉飛び出そうなくらいひんむいてた。
肝心のクリフォードと言えばぼっかーんと呆気にとられてたみたいだけどなんて言うかどんな顔しても美人は得だな、なんて頭の片隅で感じた。
そういう所に目がいくって事は意外と余裕なのかな、それか現実逃避。(多分後者)
「ほ、ほんとなんだってー!!髪長い目で、前一回アフロと抽選会にも居た人みたいだったけど、その人ソファーに座っててさ!でもMr.ドン当たり前みたいな顔で足下に膝付いてるしなんかもうわけわからん!Mr.ドンってなに実はニュートラルなのあんなドS顔なのに!?」
「お、おい…クロノス落ち着ケ」
「これが落ち着いてられっかタタンカのばかー!!もうやだアメリカ怖い!」
「てかワイフもなにやってんの…」
あれか!あれがワイフか?!流石の大統領二世も結局は尻に敷かれるタイプなのもうワイフ最強伝説じゃんそんなん!レベル99のラスボスじゃん!
あたしの頭の中の囁きを見透かしたようにクリフォードがため息を吐いた。顔に書いてあるくっだらねぇって!ひどい!
こっちは三日三晩うなされそうな感じなのに!
そう言ったら今度はデコピンされた。ほんとなんなの!!
間違いなくあなただった
(そんなはじめまして)
++あとがき+++
クロノスちゃんとの初めまして第一段!
ここまでお読み下さった皆さま、名前変換なしで申し訳ありません…(汗)
どうしても初めましては衝撃的にしたかったのでクロノスちゃん叫ばしっぱなし…すみません彼女可愛らしくて楽しくてたまらなかったのでつい…(天と皆さまに土下座)
何で天下のMr.ドンが跪いてたかはワイフ視点後編で。
後日UPいたしますのでそちらもお付き合いいただけたらな、と思います!
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タイトル*暗くなるまで待ってさまより
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