珍しい。今の光景を一言に表すならばまさにそうだ。
Mr.ドンと、。組み合わせとしてはこの上なく見慣れた二人。
常日頃から傍にいないと違和感を覚えるくらいの、お決まりの二人。
彼らが行動をともにすること自体はなんらおかしくない。
なんてったってドンは、平素超ド近眼のの目の役割を果たして何かと甲斐甲斐しいエスコートをしているのだから。むしろ自然だ。

そう、二人の今の状況以外は。

「さーぁ、観念しなさいMr.ドン。今日という今日は白状してもらうんだからね」
「おぉ、怖いことだ。そうそう睨んでくれるな、惚れ惚れするほど勇ましいKitty?」
「ド―――ン―――――」

ゆったりとソファーでくつろぐドンの胸ぐらを引っ付かんで、背もたれに押しつけるようにの腕には力がこもる。
マウントポジションをとって不機嫌に眉根を寄せた姿を後目に、バッドはちらりとタタンカを仰いだ。

「なに、ワイフ目覚めちゃったの?」
「んなわけあるかっ!」
「Mr.ドンと家賃のことで痴話…揉めてるんだト」
「タタンカ…今痴話喧嘩って言おうとしたな」
「“ついうっかりお口が滑っテ”」
「お上手な日本語どうも!」

長い指を口元にあてがって貴婦人のような仕草をとったタタンカにそう叫ぶとはまた鋭い視線をドンに戻す。
元凶のドンはと言えば涼しい顔で堅く握りしめられたの右手を撫でるだけだ。ますますの機嫌を損ねる様子で。
青ざめたパンサーと興ざめしたクリフォードがほとんど同時に溜息を吐いた。

「そりゃ私のバイト代なんてたかが知れてるだろうけど、毎月払うって約束でしょう?そっくりそのまま使わないで口座に戻すってどういう了見?」
「家賃代わりにお前は家事をするだろう。ならば俺が他を負担してもなんら問題はない」
「家事云々以前に色々支援して貰ってるじゃない。それとも私はそんなに甲斐性がないって言いたいの?」
「アレは言うなれば親父殿の趣味だ。老い先短い大統領の為にも甘んじて受け止めたらどうだ。お前にすげなくされると親父殿は泣くぞ、尊き国家の大統領の威信も何もかもかなぐり捨ててむせび泣くぞそれでもいいのか」
「どんな脅し文句だドンの阿呆!!アーノルドの叔父さまは断じて老い先短くなんかない!!この親不孝者!!」
「ああ、その台詞を聴かせてやりたいものだな」
「ドン!!!!」

一方的にヒートアップしていくを楽しむようにドンは少しずつ彼女を煽る。
どうせそのうち話は打ち切られるだろうと踏んだバッドはクリフォードとタタンカの脇腹を小突いて囁く。

「50$。ワイフが自爆」
「…ドンの力ずくに80$」
「Mr.ドンに75$。誘導尋問の類デ」
「みんなやめてよ…も〜!」

この勝負、タタンカの勝ち。







(けんかするほどなんとやら?)


++あとがき+++
ドンとワイフ共同生活舞台裏^q^
ちっこいケンカの度にバッド達は行く末で賭けるとかだったらいいな!
大抵三パターンで終着する痴話喧嘩=バカップル的!と意気込んで書いた割にはイマイチ殺伐とした感じが否めない
国家権力を揺るがすワイフとか聞こえによっては凄いことにwww
菱は大統領に一体何を求めてるんだろう/(^q^)\

タイトル*流星雨さまより


MENU