※ 312th down「新世代へ」ネタバレ注意

振り向いた先に血まみれの女性が居たとかジェイソンが居たとか、そんなホラーでグロテスクである意味ファンタジーな体験を残念ながら一度も経験していないは、多少のことになら持ち前の度胸で切り開くと自負している。

『全てを統べる者』と呼ばれるドンの元で様々な経験を積んだと思っているし、それは選抜アメリカに携わるようになってからさらに増したようにも感じていた。
世界に瞬く星々のもとで、その一流に触れることは何よりの誉れで、だからこそはプライドを持てる。自らを奮い立たせることができる。

そう思っていた矢先に、一体これは何の仕打ちだ。まだ靴に画鋲を入れられたり、人気のない場所に呼び出された方がよっぽど清々しい。
クリフォードの、意外と長い睫毛を眺めての意思は、思考だけでも逃亡を図る。

「…んっ!」

言わずもがな、それは何もかもすかした顔で策を張り巡らせる王子さまの、素晴らしい口付けのスキルで阻止をされたわけだが!(この、鬼畜っ
振り向きざまに唇を奪われた所為で中途半端な体勢が辛い。(後にそれは逃げ出さないための保険でもあったとは知る)
顎にかかる五本の指先が、くすぐったい。
ほんの数分前まで目を通していた日本のアメフト雑誌がぐしゃぐしゃになるのを指先に感じながらも、それどころではない、この暴君の振る舞いに、は必死で退路を模索する。模索する端からばったばったとを追い詰めるクリフォードが居るものだから、なかなか実を結ばないのだが!

「――………」

伏せていたクリフォードの瞳が、うっすらとその青い色を覗かせる。
日本で言うところの伏し目がち、であろうか、まあ別嬪さんですこと!顔に出ていたのか、濃ゆい口付けの傍らで足を踏まれた。(しかも踵で)(すごく滑稽な図だ)
存外にムードを大切にしたがるクリフォードの気に障ったのだろうか、それまでは(微々たるものだが)あった多少の気遣いというか、手加減というかそんな感じのものが一気になりを潜めた。うわ、やばいやばいやばいこわい!
身を引きかけたは、やはり二ミリと動けずに終わった。
何もかもを吹き込むような深いものに変わった口付けに今度こそ恐れおののく。
この人、キスだけで人殺せるんじゃないかな。半ば本気ではそう考えた。(余裕じゃない、現実逃避または心の防衛本能だ

「()」

息遣いだけでクリフォードはに囁く。
余計な事は考えるなと、こんな所で心通ったってちょっとしか嬉しくないよ馬鹿!
ゆるく唇を食むようなキスの傍らで、後頭部を押さえる手がふわりて動く。テクニシャンですね王子さま、口が裂けても言わないけど!

「――………っ、はぁ!くるし、」
「へたくそ」

ようやく解放されて、ぐわんぐわんしてる人間に今なんと!?
息切れを始め様々な二次被害に苛まれるを見て、クリフォードは鼻で笑う。
アメフトで肺活量って鍛えられるらしい。この方息切れ一つしてませんもの。
くるり、向かい合って引き寄せられたの喉元を長い指がなぞる。(王子王子、卑猥です

「お前もっと鍛えろ、なよい」
「それは、俺は本気だしたらこんな比じゃねぇんだよコノヤロウという意味なのですか…?」
「話が早い。それだけは褒めてやるよ」

ぐい、再び顔を近付けてきたクリフォードに、嫌な予感がして顔が引きつる。
ごつ、机が足の付け根あたりに当たっての逃げ道を更に塞いだ。



レディ、



(キスのキの字も知らないKittyに、王子さまから熱烈指南)


++あとがき+++
ホワイトデー企画のはずなのにそれに掠りもしていない&クリフォードさんが鬼畜すぎる件について(爆)←…
それでも一応UPはします。仲間外れはだめだよね(書き直せ)
王子はキスするとき絶対目を瞑るに違いない!そんな妄想
ぬるい描写ですみません(殴)
全国一億二千万人のクリフォードファンの皆様に土下座。甘くない…OTL
振り向きざまに唇奪っちゃった王子さま!ジャイアニズム
きっとこれちゃっかり入り口に鍵かけてあるよね!←くたばれ
王子のキスは殺傷能力と蘇生能力の両方を兼ね備えている気がしてならない私です。お伽噺的にもネ!

タイトル*ララドールさまより


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