「―で、だ」
ミーティングルームを内側からしっかりと施錠し、五芒星は向かい合って椅子に腰掛ける。
相変わらずバッドに抱き上げられたまま、前足(人で言う両手)を突っ張らせた嫌に姿勢の良いウサギはMr.ドンの言葉に耳をピクリと震わせた。
「何がどうなって、この状況になってんだかさっぱり分からねぇんだがな」
もっともな疑問に、バッドも肩を竦めて溜め息を吐いて見せる。
同じ様にしてうなだれる―恐らくは肩を落としている―もその答えは持ち合わせていなかった。
「朝起きたらのジャージとかバインダーとか一式と一緒にとおんなじ喋り方ウサギが居たから取り合えずダッシュで連れてきた」
「…朝起きたらこうなってた」
嘘偽りのない答えも、今この状況においては何の意味も持たない。
突然の非日常と、バッドの並外れた順応性の高さに、Mr.ドンは溜め息を吐いた。
「他の奴らは適当に誤魔化しておいてはやるが……問題はその後だ」
「でも、医者に見せるわけにはいかないし」
「こんな症状に対処できる医者が居るならお目に掛かりたいもんだぜ。ゴシップの良い的だ」
「しかしこのまま何もしない訳にはいかないだろう」
ぐるり、時計回りに言葉をつないで、発言権は再びMr.ドンへ。
ハァ…と溜息を吐いて、ちょいちょい、と人差し指でを呼んだ。
流石はウサギ、バッドの腕を離れて、ぴょことMr.ドンの傍らに飛ぶ姿は軽やかである。
足元にたたずむ小さな彼女を、その大きな掌ですくい上げると包み込むように手を当てた。
「脈拍は正常、一応意識もしっかりしてる。手足もきちんと動く。今の所は健康だな?」
「うん」
「親父のツテを当たって来てやるからしばらくは大人しくしてろ。あのオッサンお前に関してはかなり協力的だからな。医者100人ぐらいは斡旋するぞ、多分」
「ちょ、国を挙げてのプロジェクトじゃないんだからさ!大統領になにさす気だアンタ!」
「そんだけ愛されてるってこった」
両耳をまっすぐ立てたをいなすように撫でて、再びバッドに預けるとMr.ドンは席を立つ。
ポケットから真っ黒な携帯を取り出しボタンを幾つか押してから耳に当てた。
「とにかく、一人にはなるなよ。バッドが無理な時は他の奴に付いてもらえ」
「でも」
「返事は」
「…はい」
携帯片手に凄むMr.ドンとウサギ。何という異空間だろうか。
バッドの腕に抱え直されたは再びうなだれた。
11.何だか芯がもやもやする
++あとがき+++
ドンとウサギさんのツーショットは犯罪^q^やたらと優しいドンでGO!
力加減とかにもめためた気を遣ってるに違いない(・∀・)
足元歩いてたら「…踏むぞ」とか言っちゃって!( ´∀`)ぷぷ
そのままひょい、とかしたりして、ヤバイこれで1話書ける(←…)
早くも1羽の尊いウサギさんの為に国家が動き出そうとしています(笑)ウサギさんはみんなのアイドル!
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