がちり、Mr.ドンが部室から出て行き、扉が閉まる。
今の時点では成すことのなくなった4人と1匹(正確には1羽)は何となく顔を見合わせた。
「そう言えばバッド、仕事の打ち合わせは?」
ふわふわとした真っ白な背中を撫でていたバッドに振り向いて、が聞く。
その言葉で初めて思い出したのだろう、はたとその手を止めて考え込んだ。
記憶をたぐって数秒後、バッドは素っ頓狂な声を上げる。
「んぁ!?やっべ、すっぽかした……」
「ちょ、行きなさいよ早く!」
「いや、だってがこんなかわい…じゃなくて大変な時に」
「…………アンタの本音はよーく解った。いいから早く行け!」
心の声だだ漏れな言葉に、が毛をしゃあ!と逆立たせる。
見た目は変わっても何一つ変わっていない二人の立ち位置に何故だかクリフォードは残念な気持ちになった。
「ははっ、怒ってもウサギだ。チクショウかわいいな!」
「バッドの阿呆!!撫でるな!!」
「バッド……」
ぷりぷりと怒るの神経を逆撫でするように、バッドはその顔に満面の笑みを浮かべる。
じたばたもがくを封じるように抱き締めてから、ようやくバッドも席を立った。
「はいはい、今行くってば!いい子にしてろよ」
「二度と帰ってくるなっ」
とすん、クリフォードの膝の上に降ろされたは、バッドのウインクを叩き落とすようにプイとそっぽを向く。
その姿にバッドは口元を押さえた。(うわ、すっごい嬉しそう)
上着を肩に引っかけたバッドが扉の外へと消えてから、凄まじく疲れたテンションのタタンカが溜め息を吐く。
みょん、クリフォードがの(人で言う首の辺りの)毛を引っ張った。
「オイ、何なんだあの順応性…」
「あたしよりナチュラルにこの状況を受け入れてるのよあの男は…」
「バッド大丈夫かな…なんか普通に『がウサギになって超かわいい』とか言いふらしそうなんだけど」
「よしてくれ、パンサー。否定できなくて悲しくなる」
13.不安
++あとがき+++
バッドの心の広さは太平洋並。ウサギになったさんを元に戻すより添い遂げる方法を探した男ですから(爆)
ウサギさん中心にバッドの世界は回っている模様子。お星さまはバッドが余計なカミングアウトをしないかどうか気が気でない。
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