※ あとがきに若干のネタバレ注意
同じ包装、同じサイズの箱、同じ重さ、色は違うけれど同じ結び方のリボン、店名印の押されたシール。
「花屋の近く…?」
「銀行の真向かい」
「「やたらめったら陽気なおばちゃん」」
「……………」
「これ、棚の上から下ろしてもらったけど?」
「あー…と、俺は…その…脚立で」
「うん、多分一緒だわ。そんな気がしてきた」
ぶくくく、と笑いを堪えながら、が赤いリボンの箱を手に取りしゅるん、とほどく。
はい、と促されて、パンサーも恋人に倣った。青いリボンをほどく。
「あはは、やっぱり」
「色まで一緒!」
シルバーのアンクレットは、手や指にアクセサリーを付けれない恋人への配慮。
余り華奢でも華美でもなく、それなりにささやかな意匠のものは、一目見てすぐに引き付けられた。
きっと、似合う。そう想い合って。
「あのおばちゃんが言ってたのってさんの事だったんだ…」
『ついさっきもねぇ、これをプレゼントにって子が居たのよ?やっぱりそのお客さんも店に入ってそれを見つけたら即決!だから脚立が出してあったんだけど…何だか不思議ね』
ウィンク混じりにそう話していた優しげな店員が脳裏に浮かぶ。
頭から男性だと思い込んでいたのだが、こんなことならもっと詳しく…
「パンサー?」
「えっ!?はい、なにっ?」
「…落ち込んでる?」
びっくぅ!と居住まいを正したパンサーの顔を覗き込んでが首を傾げる。
あやすように頭を撫でてきた掌の暖かさを感じながら、パンサーは俯いた。
「え、あ、いや、なんて言うか、これじゃお返しになんないなーと…俺が、貰ってばっかりで、その、」
頬を掻いて視線を泳がせる。
からの贈り物は嬉しいし、互いに通じ合ってるみたいでもっと嬉しい。
けれどこれではパンサーがマイナスだ。バレンタインのお返しがしたかったのに、その点だけが少し残念。
そんな気持ちだってまた、は優しく笑って、正しく掬い上げてくれるから。
そんな彼女が大好きで、でもたまには、にそうやって笑いかける方にパンサーは立ってみたいのだ。
二年の差が、すこしもどかしい。
「…パーンサー」
黙りこくってしまったパンサーの掌に、の暖かな指先が重なって熱を増した。
パンサーが何時の間にか引き結んでしまっていた拳をといて、が微笑む。
指先が赤いリボンを挟んでいた。
まるで赤い糸のようにパンサーの小指をしゅるしゅると彩って、蝶々結び。
満足そうにそれを見やって、来い来いと手招きをする(アメリカでは拒絶のジェスチャーも、彼女がすれば途端に優しい意味を持つ)
ひょい、頭にクエスチョンマークを浮かべながら屈んだパンサーの頬を素直な黒の髪がくすぐった。ちゅ、と唇に、柔らかな感触。
「これでお返しね」
にこ、と微笑んで呟く、こんな綺麗な笑顔反則だ。レッドカードだ。
ちなみにこれこの前バッドが映画で…そんな事を話すの言葉がパンサーの耳をすり抜けていく。
ぎゅうぅ、考えるより先に、両手はを捕まえていた。
抱き寄せて肩に抱え込んで、自らの顎もの肩に埋める。頬が熱い。
「さんそれ犯罪…」
蚊の鳴くような声でそう呟いたパンサーに、擦り寄るようには抱きつく。
ああ、むりだ、まだこんなに敵わない、小指のリボンを握りしめて、パンサーは
また腕に力を込めた。
第一次ラブショック
(あなたが好きすぎてもうどうしようもない件について)
++あとがき+++
どこぞの鬼畜どもとは違い、パンサーは安心できます。うん、ホワイトデーっぽい、やっと
若干の筧化(=へたれ化)フラグは否めませんが、パンサーとタタンカに関しては年下攻めの下剋上でも全然OK敬語で攻めの姿勢を見せて欲しいでsu(黙ろうか)
『プレゼントはわ・た・し』の逆バージョン。とてもとてもワイフがタラシでびっくりしました(おまっ)
してることはある種変わらないはずなのにこのドナルドさんバージョンとの温度差はなに?(爆)
パンサーはワイフにめろめろ過ぎの巻きでした。ほのぼの
次のパンサーに下剋上を期待(コラ)
タイトル*ララドールさまより
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