※ 312th down「新世代へ」ネタバレ注意

しゅる、しゅるん。
耳元や首筋をくすぐる感触に少しのくすぐったさを感じながら、はほんの少しだけ居住まいを正す。
ドレッサーに座ったの、そのすぐ後ろにガスチェアを置いてタタンカも腰を落ち着けていた。

傍らのサイドボードには、椿油に桃の櫛、とりどりの簪が全部で三本、全て日本の物を揃えるためにドンやバッドに協力をしてもらってカタログを集め、選ぶのはパンサーとクリフォードにも意見を聞いたのだと言う。いかにも、彼らしい振る舞いだ。

紺色に金細工の平べったい、丁度三味線のバチのような形をした鞠の柄のものと、スミレ色に山吹の蝶々と山茶花の彩るひとつ結びのオーソドックスなもの、銀の軸に繊細なしだれ飾りと透き通る小さな玉の付いたものを並べて、そのうちのスミレ色を長い指が手繰り寄せる。

櫛で丁寧に椿油を馴染ませた髪をくるくるとねじったまではわかったのだが、その後の指のはしりはとてもではないけれど覚えきれないほど滑らかに動いていった。

優しい指先が毛先を撫でて地肌に触れる。
きゅ、と簪を差し込む仕上げの作業が終わったのを見て、は手鏡を取り出した。
くるり、タタンカに向き直ってドレッサーと合わせ鏡にした手鏡のほうを覗き込む。
綺麗に編み込まれてたった一本の簪を駆使して、見事に結い上げられた髪をは確かめるように軽くなぞった。

「わ、すごい。なんか複雑なんだけど、まとめ方が」
「そうか?」
「うん、なんか全然手順が想像出来ない」

おぉ、と鏡を見やるを見て、タタンカが笑う。
ドレッサーに一式を並べ直す彼の傍らで、はひたすら首を傾げた。

「え、これ、何でこんなしっかり留まって…?」
「もう一回しようか?」

しゅ、簪がすんなりと抜ける。
しっかりと纏まっていたのにつるりと元に戻った髪型に、すごい!はまた感激の声を上げた。
今度はの手を重ねるように、タタンカは髪を結う。

「ま、待って待って待って!タタンカ、はやい!」

次々と目まぐるしく動く指先にが悲鳴を上げる。
あまりに慌てるものだからおかしくて、タタンカは喉を震わせた。

「今まで髪を結ったりしなかったのか?」
「あんまり…伸ばしたのってこっち来てからだもん。黒髪ストレートフェチなドナルドさんが居るものでね」
「そうだったのか、折角綺麗なのに、少し勿体無い」
「……………タタンカ、お願いだからそれ他の女の子にはやめてね」
「おかしな事を言う、以外の誰にこんなことをするんだ?」
「いや、うん…そうなんだけど、うん、とにかくやめてください」
「顔が赤いが…」
「いいえ、些細なことです」

勢いを無くした言葉が弾みを持たずに床に落ちる。
不自然なまでの笑顔を称えたは顔を隠したい衝動を必死に押さえつけた。
こんな所を他のチームメイトに見られた日には多分それこそは星になる。
そんな事を思っている間にもまた、タタンカは見事に簪をフィニッシュの位置に差し込んだ。
が眉根を寄せる。

「クォリティー高いね…ダメだ、ちゃんと覚えれるかな…?」
「出来ないならそれでも良い。このぐらい毎朝するさ、
「………………」

黙りこくってしまったが俯く。
その頭に手をやる前に、タタンカの肩にぽすり、の額が当たった。



これがそうだとするなら、






(タタンカはもう少し自分の殺傷能力に気付くべきだと思います)


++あとがき+++
ホワイトデー企画っぽいですね!(爽笑)最後の一人ですけど!←オイ
タタンカ=罪作りなハニカミの貴公子という方程式が菱の中では出来上がっています!TA・RA・SHI(・∀・)!

タタンカ氏それはある意味プロポーズだよ!と誰か大和的に指摘してさしあげてください。悶え死にそうなワイフの為にも

年下攻めの下剋上ができて菱満足!(きさま)タジタジなワイフも面白いです^q^
タタンカと進清十郎氏が頑なに混ざる私。キャラかぶってね?(禁句)
あああああ捏造し過ぎだよどうしよう確実にMr.ドンの時と同じ轍を踏んでるよ(ごろんごろん)はよ本誌出てこーい!

タイトル*ララドールさまより


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