の周りは、ひんやりしていた。
それは彼女の機嫌が悪いとか比喩的な意味ではなくて、本当に体感温度が低く、本人も触ると冷たかった。
夏の間でもいつものあの長袖のジャージをおいそれと手放さないのには意味がある。
肩をすくめて抱きしめるように二の腕をさする彼女の顔色は白い。
「ほんっっっとやりたい放題し放題だよあの人は!」
憤慨した仕草で呟いたは、はあぁ、と溜息を付いた。
季節はずれの冷えに打ちひしがれる彼女は、先程までモーガン邸に呼び出しを食らって練習を抜けていたのだ。
は本来ならばもうすでに高校の学習課程を卒業している身だが、アメリカと日本のシステムの違いでまだハイスクールの最高学年。
ただし、日本での卒業認定は下りたらしいので、多少学業を離れたとしても支障は出ないのだ。
それを知ってのモーガン氏はことあるごとにを呼んでは来年のユースがどうのと話を振ってくるのだとか。
パンサー曰く“地球にお厳しい”モーガン氏の冷房フル稼働な環境下に晒されてはいたくご立腹だ。
「この温度差逆にツライ…なんかいやな汗が…」
「大丈夫カ?」
「…暑寒い」
「〜…」
縮こまった背中をさする。
午前の練習で火照ったタタンカにはちょうど良いが、自身は寒くて溜まらないのだろう。
隣り合ってソファに座った座高の違う肩口に、寄り添うように座った場所をずらしては頭を傾けた。
「もう無理限界タタンカ抱いて」
「こラっ!大統領が泣くぞはしたなイ!!」
「ああ、ごめん言い方変える。抱きしめて下さい」
幾分か思考回路の飛んだがべったりとタタンカの腕にもたれかかる。
溜息を一つ落としてから、の冷たい手を繋いだ。
僕と彼女と彼女の右手
(「あー、人肌…」
「…モーガンさんどれだけ冷房効かしたら気が済むんダ」)
++あとがき+++
ワイフが壊れた\(^o^)/モーガンさん宅は年中空調ガンガンだろうという妄想
しょっちゅうワイフはお呼ばれするよ!
「大統領が泣くぞ」って言う台詞は一度は使ってみたかったので満足満足。オカンなタタンカ楽しかった
タイトル*ララドールさまより
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