「、また背が伸びたね」
ひょい、大和が掌をの頭に翳す。
自身ととの差を比べるようにひらひらと揺れる大きな右手を見ながらは首を傾げた。
「そう・・・かな?」
「うん、この前はもう少し下だったよ」
「相変わらず、留まるところを知らん成長期やなぁ」
「う、うれしくないよ、もう流石に・・・」
「なんでだよ、背の高いも可愛いぜ?」
珍しい組み合わせの平良と天間が会話に加わって、場の雰囲気も一気に広がる。
ちなみに大和は190p、は(大和の目測曰わく)180p、平良が177p、天間が167pだ。
言い淀んだを天間が見やって、大和が見つめる。平良は相好を崩したままだ。
ぴん!、頭の上に感嘆符を乗せる勢いの大和がはきはきと話し出した。
「なるほど、本庄氏か!」
「や、大和っ!!」
「あ〜・・・それでか」
「女の子だなぁ、かっわいい」
「え、なにこのいじめ・・・」
の、一番繊細な部分を抉るような快進の一撃。
帝王のチャージさながら、凄まじい威力を放ったそれは、平良と天間の呟きで殊更の心にクリティカルヒットした。
額を押さえたが力無くうなだれる。
何だか避けがたい運命がの目の前に迫ってる気がした。
「理事長はにぞっこんだから心配いらねって。それとも何、最近冷たいの?」
「ほ、本庄さんはいつだって優っ・・・・・!」
「ははっ、仲が良いね」
「まー聞かんでも見とれば十二分に解るけどな!」
「・・・・・・・・・・(しにたい)」
天間の言葉に、考えるより先にが拳を握って否定。
途中我に返っても時は既に遅かった。
大和と平良の、あからさまに良い笑顔がの心に追い打ちを掛ける。
叶うことなら二秒前の自分を殴りたい、にしては珍しくバイオレンスな考えが頭をよぎった。
中途半端に握り締めた掌を解いて、手持ち無沙汰に服の裾を弄ぶ。
視線が下がって、まるで小さな子供のようだ。
「そ…そういう心配じゃなくて、その、背ばっかり伸びて、みっともないし」
「んなことないって!自信持てよ」
「本庄理事長と並んで違和感ない女の子っちゅうのもなかなかおらんで〜?」
「天間氏やヘラクレス氏の言う通りさ、。恥ずかしがってばかりいないでその身長を生かす道を考えればいいじゃないか」
「そーそー、の身長は武器なんだって武器」
「ぶ、武器・・・?」
代わる代わる立て続けに押されて、勢いには飲み込まれる。
それが、最大の転機だ。
押しが弱く押しに弱いが、この心身ともに屈強な三傑の英雄達を押しのけるすべを彼女は持たない。
「そうだな・・・その身長差を生かしてキスでもしてあげればいい」
「キっ・・・!!」
「だぁっははは!流石大和、発想が違う」
「ナイスアイディア!愛してるぜ大和!」
「ちょ、三人とも、ちょ・・・えぇぇえぇえ!」
大和のなんてことないさと言わんばかりの言い草を、全く反転したリアクションでが言葉を失う。賽は投げられて戻らない。
あたふたと顔を真っ赤に染めたが三人の顔を見渡す間にも、話は猛ダッシュで駆け巡って行った。
「せやかていきなりキスはハードル高すぎへんか?」
「頬あたりでなら頑張れるだろう?」
「逆にそのほうがらしくてよくね?いーじゃんいーじゃん!、頑張れっ」
「そうと決まれば、ヘラクレス氏、本庄氏を呼んでこよう」
「よっしゃ。天間、が逃げやんように見張っといてくれるか?」
「任せろ」
「ちょっと待って―――――!!!!!」
そうと決まればってなに!?、置いてきぼりにされたは必死で声を張り上げる。
今にも走り出しそうな大和と平良の服を掴んではぶんぶんと頭を振るった。
もちろん左右に。
「む、無理無理無理無理絶っっっ対むり・・・!そんな、どんな顔して・・・」
「いつもと同じで良いさ。本庄氏といるときのはすごくいい笑顔だからね」
「若干上目遣いだと尚良し☆これで落ちない男はいないぜっ!」
「そそそそんなアドバイス求めてない・・・っ」
ぼふん、天間と大和二人にそれぞれ左右の肩を叩かれてはすこし泣きたくなった。その比類無きコントロールを見初められた花梨もこんな気持ちだったのだろうか。今度聞いてみよう、そして場合によっては謝ろう。(正真正銘の現実逃避)
遠いお空の彼方に旅立ちかけたを連れ戻すように、まぁ、とこの場で一番控え目に平良が呟いた。
「まぁ、落ちる落ちやんはさておき、喜ぶんは確かやと思うで〜」
「惚れた女の子にだったら誰でもしてほしいことなんだって」
「だ、誰でも・・・?」
「そう、誰でも。これで喜ばなかったら男じゃないな!」
天間の力説がの思考に魔法を掛ける。
もうそろそろ色々な意味での限界が近い。
「お、噂をすれば本庄理事長」
「勇気を出すんだ。ここを試合会場思って、いつもの調子だよ」
「大丈夫だって、絶っ対喜ぶから」
大和と天間のどこからともなく溢れ出でくるような自信がの背中を強く押した。
アメフトの試合でも、ここまで励まされたことなど、多分ない。
躊躇って振り返るに、『行け!』天間が目配せで最後の一押しを放った。
08 うわめづかい
(恋の必勝法伝授!)
(つづきはWebで!)
++あとがき+++
鷹がいないほんの十数分の間の犯行…もとい出来事
相変わらずアレキサンダーズは楽しいな!
大和と天間の悪ノリ相乗効果。平良は心持ち良心的。
ただし天間も大和も確実に良かれと思ってやってるに違いない。これぞ温度差
以前一度だけ大和×王城夢主は『恋人同士になったとしたら大和は今以上に遠慮がなさそう。夢主が照れ死にしそう〜』と日記に書いたことがあったんですが…うん、照れ死にっていうか夢主溶けてなくなるな。この調子だと
鷹と言う名の防波堤無しでは夢主に彼らを止めるすべはありません(少なくともフィールドに上がらない限り)
今までアメフト一筋で恋愛に疎い夢主に入れ知恵をするなんて百戦錬磨の天間様に掛かれば赤子の手を捻るより容易いよね!というお話←…
旦那さまのために色々追い詰められつつギリギリまでがんばるお嫁が超楽しかった(笑)
本庄さんも本庄さんできっと大和達に怒るに怒れないですよね^q^複雑!そんな妄想!(自重しろ)
ただもうそろそろ鋼鉄の理性も限界に近いので『で遊ぶのはほどほどにしてくれ』とか言ってればいい。いろいろな狭間で揺れ動く本庄氏(子持ち)に愛!←……
本庄さんはいつでも優しい!と無意識に拳を握ってノロケるのと現実逃避をする夢主がお気に入り
夢主を虐め隊の菱としては非常に楽しく妄想できました(笑)
やっぱり第三者目線の夫妻が一番楽しい
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