次にが目を覚ましたのは教団内にある療養所のベッドの上だった。
【BEAUTIFUL】−3−
「・・・・・」
「っ、!目が覚めた?」
「・・・えぇ、心配かけてごめんね」
「ううん、元はと言えば兄さんの机がああだったから・・・」
「今後オレ達も目を光らせとくよ。ホントに申し訳ない」
リナリーとリーバーの声が申し訳なさそうに響く。
「ちゃんと師匠に付いて来てもらってればこんなふうに誤解される事なかったわ。気にしないで?」
そう言うとはベッドから身を起こす。
「改めて 初めまして、クロス元帥の弟子の・です。よろしく」
「リナリーよ」
「オレは科学班のリーバーだ。よろしく」
「色々お騒がせしました。アレンは今どこに?」
「さっきまで居たんだけど、あんまり休んでないみたいだったから部屋に行かせたよ。呼んだからもうそろそろ来ると思うけど」
「ぅおわ!室長!?」
「に、兄さん?!いつの間に?」
ナチュラルに会話に入ってきたコムイにリーバーとリナリーは驚いたようだ。
だが、はさして気にせずにコムイと話す。
「一個人的な好奇心からなんだけど、もしかしてちゃん、クロスの・・・」
「ぁ、お察しの通りです。多分」
「あ、やっぱり?ほら、指輪してたからそうかな〜と思ってさ。
うん、いいね〜。二人並んで歩いてたらお似合い。でも随分歳の差カップルだねぇ」
「「!?」」
「ふふ、丁度いいんですよ、あたしフケ顔ですから」
「え、ぁ、あぁああぁあの、?」
「もしかして・・・ぁ〜、なんだ、その・・・は元帥の、」
「恋人です」
「未来のミセス・マリアンだねぇ」
『本当(マジで)?!』
「本当ですよ」
「アレン」
療養所にアレンが入って来た。顔には苦笑いが浮かんでいる。
「気分はどうですか?」
「だいぶ寝てたからスッキリしたわ。心配かけてごめんね」
「いいんですよ、それより師匠が居なくてよかったですね。居たら今頃神田はどうなってたことか・・」
ふっとアレンがどこか遠い目で言う。
「あ〜、ちょっと過保護だからね・・・」
どことなく照れくさそうな。
「そんなにヒドイの?クロスったら大人気ない」
「・・・ひどいなんてもんじゃないですよ。下手したら教団がスゴいことに・・・ほら、覚えてますか?」
「ストップ、言わないで。あの時はホントにいろんな意味でひどかったわ・・・」
((なにしたんだろ、元帥・・・))
心なしかアレンとの顔が青ざめている。
「あ、そう言えばコムイさん、神田くんの折れた六幻なんですけど・・・」
「あ〜うん。あれ?」
「あたしが壊したものはあたしじゃないと直せないんです」
「どうりで、何回やってもくっつかないわけだ」
「あれが、のイノセンスか?」
「えぇ」
「でも、発動させてないよね?」
「・・・・・えぇ」
「どういう事っスか、室長?」
「それを聞きにきたんだ、。教えてくれるかな?」
「・・・城内のエクソシストを呼んでもらえますか?いずれ知られることになるのなら自分の口から話したいんです」
「いいんだね?」
「はい」
「・・・わかった。少し待ってて」
そういうとコムイが内線を使ってエクソシストを呼ぶ。
城内に残っていたのは、神田、ラビ、ブックマンの三人だけだった。
* * *
「わぉ、すっげぇ美人サン。リナリーといい勝負だな」
「よさんか、色ボケ小僧。挨拶もせんうちから」
―ゴスッ
ラビの軽口にブックマンの鉄拳が見舞われる。
「申し訳ないな、嬢。私はブックマン。あちらはラビだ」
「・です。治療をしていただいたそうで、有難う御座居ました」
「回復なされてなによりだ」
そういうとブックマン、ラビと握手を交わした。
「用件はなんだ」
神田が不機嫌そうに言う。と、
―ピヨ
間の抜けた音をたてて神田の頭におもちゃのハンマーが振り下ろされた。
もちろんコムイの仕業だ。
「ンも〜ぅ、黙って聞いてれば、刺々トゲトゲしちゃってさ、何でそんなふうに意地悪するの!」
「コムイ、てめぇ・・・・・」
「ちゃんの大事な話なんだからおとなしく聞きなさい!」
「チッ」
なんとか納まった(?)ようなのを見て、が口を開いた。
「これからする話は信じがたいものでしょうけど、全てが事実。
あたしには今確認できるだけでも八つのイノセンスが寄生してるんです」
「「「「!?」」」」
「イノセンスは一つにつき一人しか使徒を選ばないと聞いている。どういう事か?」
「・・・ブックマンとラビなら聞いたことはあるかもしれませんね。
あたしはかつて教団で行なわれていたエクソシストをつくる実験の唯一の成功例です」
ギュ、とリナリーがの手を握る。も答えるように手を重ねてから、再び話した。
「今では禁止されている人体実験、その始まりを作ったのはあたしです」
そういうとは話し始めた。
―全ての始まりである、長い、長い話を―
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