【OH MY LITTLE....】−2−


  「フン、あいつは何がしたいだ、何が欲しいなんざ滅多と言わないヤツなんだよ。
  こんくらいのワガママで気が済むんならいくらでも聞いてやる」
  「「元帥・・・」」
  「そっか・・」
  「つーわけだ、いい加減出てこい・・・
  「「え!?」」
  「ってあれ、ラビ、神田君にアレン君まで居たの?」
 
 が気まずそうにドアを開けて入ってくる。
 後ろにはフィルを抱いた神田とを気遣わしげに見るラビ、アレンがいた。
 
  「・・・・っ」
  「コラ、泣くな・・・別にお前を叱りとばしたりしねぇよ。こっち来い」

 クロスは泣きだしたを引き寄せて頭をガシガシ撫でる。

  「墓を見つけたか」
  「・・・二つともありました。フィルと同じ、クーベル姓の、」
  「・・・そうか。おい、コムイ」
  「何?」
  「里親探せ。下手なやつに預けるなよ」
  「了解」
  「、それでいいな?」
  「はい、師匠・・・コムイさん、よろしくお願いします」
  「責任を持って探すよ。安心して、
  「・・・ッはい」
  「あ〜、ほらほらもう泣かないの。折角の美人さんが台無し・・・ってクロス
  
先言っときますけどね、言葉のアヤだからね」
  「当たり前だ」
  「うンわ!真顔でノロケたよ。どう思う?アレン君」
  「ぼ、僕に振らないでくださいっ・・・  ヘタなこといったら後でどんな目に遭うか・・・

 (アレン死にそうさっ・・・)

  「おまえのシスコンよりはマシだ。いい歳こいて、」
  「リナリーは可愛いくてしょうがないからいくら心配してもしたりないんだよ!!」
  「・・・妹が不憫だな。自覚がある分タチ悪ぃ」
  「「「「確かに」」」」(リーバー・アレン・ジョニー・ラビ)
  「ねぇ、ちょっとちゃん聞いた!?今の辛辣な言葉!!」
  「、この際ハッキリ言ってやれ。俺が許す

 クロスを見上げてほんの少し目を丸くしてから、が困ったように笑う。

  「・・・もう、クロス。いくら何でも言い過ぎだわ」
 
 涙は、止まった。
 
 と、内線電話が鳴った。一言二言交わしてからコムイが電話を切る。

  「、リナリーが任務から帰ってきたみたいだよ。ずっと会いたがってたから、迎えに行ってあげて」
  「クロス」
  「行って来い」
  「・・・ありがとう。神田、ラビ、アレン、ありがとうね」
  「俺らは大したことしてないさ。な、アレン、ユウ?」
  「・・・あぁ」
  「そうですよ、。いってらっしゃい」

 フィルを神田から受け取り、たおやかに笑っては水路に向かう。
 足取りは軽やかだった。
  

 だが、難題がひとつ。

 (ってオイ、ジョニー。抜きで神田と元帥会わしたらまずいんじゃないか?)
 (でももう九割九分九厘手遅れっす、班長・・神田思いっきり元帥睨んでますから・・・
 (その人にだけは逆らうな、神田ー―!!)
 
 リーバーの小さな叫びも虚しく、早くもクロスと神田は挑発のしあいである。
 
  「前はが随分世話になったな」
 
 (注】神田はアレンとが本部へ初めて来たとき、誤ってに結構な怪我を負わせてます)
 
  「今日みたいにあんたが直接教団に来れば済んだ事だろうが。
  過保護のクセに横着かましたあんたが悪い。そんなに大事なら名前でも書いといたらどうだ」
  「その目は飾りか?その為の指輪だ。お子様には効果がなかった様だがな」
  「保身に入るのは年寄りの悪い癖だな。自信がない証拠だ」
  「言うわりにはの眼中にも入ってねぇみたいだが?」
  「否定しないってことは保身に入ってるのは認めんのか。だっせぇ」
  「には守るべき価値があるんだよ。体裁気にして泣きみてるヤツよりはマシだと思わんか?
  それにそうでもしないと悪い虫が付くんでな。
  特に“か”ではじまって“だ”で終わって真ん中が“ん”の名前のヤツがしつこくて」
 
 ((全部言ってる!!))
 
  「あ〜あ。クロスも大人げないなぁ〜、ちゃんがいる時はまだ比較的ではあるけど大人しいのに。
  で?なんで神田君がフィルを抱いてたわけなの?ラビ」
 
 リーバーとジョニーが焦る一方でコムイ、ラビ、アレンは傍観に撤している。
 
  「ん〜?あぁ、なんかがフィル抱っこしてんの見るのが危なっかしいってユウが言いだして
  それでと交代したワケさ」
  「へぇえ〜、あの神田君がねぇ・・でも相手がちゃんとは随分報われない恋じゃないか」
  「だよねぇ?だいぶ不毛さ、勝ち目ねぇもん。なぁ、アレン」
  「師匠からをとるなんて例え地球が半分に割れても、伯爵が激痩せしたとしてもありえないですね」
  「まぁ、とりあえず二人がイノセンスを使わないかぎりは好きにさせておこうか。
  いい機会だよ。神田くんにも踏ん切りが付くでしょ。進むにしても、引くにしてもね」
  「・・・その前にリーバー班長とジョニーの胃に穴が開くかもよ、コムイ」
  「むしろ、イノセンスなしだろうがなんだろうが関係なしに教団に穴が開きかねませんよ
  「それ言えてるな」
  「コムリン事件以来教団壊滅の危機再来じゃないっすか!?」
  「あの二人の破壊力はコムリン以上ですよ、室長」
  「・・・・・やれやれ、クロスと神田、この二人をまとめれるは偉大だね。ラビ、アレン君」



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